2025年大阪・関西万博に参加することを発表していたメキシコが、出展を取りやめることを関係者に伝えたことが9日、明らかになった。万博からの撤退を表明した国は初めてで、万博協会は残念がっている。
メキシコは、自国の文化や技術を紹介するために、自前で設計・建設する大規模なパビリオン「タイプA」を出展する予定だった。しかし、来年6月に大統領選挙が予定されており、再来年開催の万博への出展に必要な予算措置が不確実な状況になっているという。
万博協会は、メキシコの撤退を防ぐために、より資金負担が少ない小規模なパビリオン「タイプC」への移行を提案したが、メキシコはこれを断ったという。メキシコは、万博への参加を公式に表明している153カ国(・地域)の一つだが、正式な参加契約まで進んだのは34カ国(11月1日現在)に過ぎず、参加をやめてもペナルティーなどは発生しない。
タイプAのパビリオンを目指す国・地域は当初、メキシコを含め56あったが、建設資材や人件費の高騰により、多くの国が計画を変更せざるを得なくなった。万博協会は、代行して建設事業者に発注し建設してもらう簡易型パビリオン「タイプX」への移行を各国に働きかけているが、これまで正式に受け入れたのはアンゴラとブラジルのみだ。スロベニアなど計2カ国は、複数の国が一つの建物を共同で利用するタイプCに移行することが決まっている。
万博協会は、メキシコの撤退について「非常に残念なことだが、尊重するしかない」とコメントした。万博協会は、メキシコの代わりに他の国・地域の参加を促進するとともに、万博の成功に向けて準備を進めるとしている。