細田氏は衆議院島根1区選出のベテラン議員で、旧統一教会との関係が問題視されていた



自民党の細田博之前衆議院議長が10日午前、東京都内の病院で亡くなりました。79歳でした。細田氏は体調不良のため先月、衆議院議長を辞任していました。

細田氏は衆議院島根1区選出のベテラン議員で、当選11回を数えました。旧通産省で勤務したあと、平成2年の衆議院選挙で初当選し、官房長官や自民党の幹事長、総務会長などを歴任しました。また、自民党安倍派の前身の細田派で会長も務めました。

おととし11月、前回の衆議院選挙を受けた特別国会で衆議院議長に就任した細田氏は、ことし7月に脳梗塞の症状が出て別の病気も含め治療を受けていました。先月13日に記者会見を開き、「国会運営が停滞することは避けなければならない」と述べ、議長を辞任する意向を明らかにしました。そして先月19日、海江田副議長に辞任願を提出し20日に辞任しました。一方で、衆議院議員は続けるとして、次の衆議院選挙の立候補に意欲を見せていました。

細田氏は旧統一教会との関係をめぐり、関連団体の会合に出席していたことなどを認めていて、野党側は説明が不十分だと指摘していました。細田氏は「私は統一教会の信者ではないし、統一教会の教義に賛同しているわけでもない」と主張していましたが、野党は「立法府の最高責任者として説明責任を果たしてほしかった」と批判していました。

細田氏の死去に伴い、衆議院島根1区では公職選挙法の規定に基づき来年4月に補欠選挙が行われる見通しです。



政界からは哀悼の声が相次ぐ

細田氏の死去に対し、政界からは哀悼の声が相次ぎました。

岸田総理大臣は総理大臣官邸で記者団に対し「心から哀悼の誠をささげ、こんにちまでのご努力に敬意を表したい。同じ中国地方の選出で、自民党の商工部会長を務めた際に商工関係に詳しかった細田前議長と仕事をしたご縁もあった。派閥のトップとしてさまざまな意見交換をしたこともあり、先輩としてアドバイスしていただいたことを思い返している。親しくおつきあいしていただいたことに感謝申し上げたい」と述べました。

海江田衆議院副議長はNHKの取材に対し「入院したと聞いて心配していたが、亡くなったことをり、ただただ驚いている。議長だった細田氏がことし8月の全国戦没者追悼式などへの出席を見送った際には、直接、私に対し代理出席の依頼があり、『務めを果たしたいが体調がよくないので出席できない』と悔しそうに話していた。今はただ冥福を祈りたい」と述べました。

自民党の茂木幹事長は記者団に対し「突然の悲報に接し、悲しみでいっぱいだ。衆議院議長を勇退されて健康回復にお努めだと聞いていたので、本当に残念な気持ちだ。個人的にもいろいろな思い出が残っており、さまざまな形でご指導もしていただいた。長年のご功績に敬意を表し、心から感謝を申し上げる」と述べました。

立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し「率直に言って大変驚いた。体調がよくなくて入院していたと聞いていたが、突然こういう形で亡くなるとは思っておらず、ご冥福をお祈りしたい。個人的には細田氏が国会議員になる前、通産省に勤務していた時からつきあいがあり、大変ざっくばらんな人柄で楽しい方だった。何度も当選し、有権者にそれだけ信頼されていた部分はあったとう」と述べました。一方で、「議長に就任してからは、旧統一教会の問題や報道されていたセクハラ問題などについて、なかなか記者会見も開かなかった。退任する直前に生の声を聞いたが、立法府の最高責任者として説明責任は果たしてほしかった」と指摘しました。



国民民主党の玉木代表は、記者団に対し「次の衆議院選挙にも意欲を示していたので、突然の逝去に大変、驚いている。晩年、旧統一教会の問題など、指摘されたさまざまな問題に対して十分な説明責任を果たしていないという指摘があり、その意味では少しすっきりしない形となったのが正直な印象だ。ただ三権の長や国会議員として地域と国家に貢献されたことに心から敬意を表し、お悔やみを申し上げたい

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