YouTubeで痴漢や盗撮、チケット転売などの疑いのある人物を「私人逮捕」する動画を投稿するYouTuberが増えているが、その行為が過激化しているとして批判が高まっている。その中で、YouTubeの運営会社が「嫌がらせ、いじめ、脅迫」と判断して、いくつかのチャンネルをアカウント停止にしたという情報が流れている。



私人逮捕系YouTuberとは

私人逮捕系YouTuberとは、自分たちが「犯罪撲滅」「世直し」を目的とした自警団だと主張し、疑わしい人物を追跡したり、取り押さえたり、詰め寄ったりする動画を投稿するYouTuberのことである。彼らは、自分たちの行為が正当であると信じており、私人逮捕の権利を盾にしている。

しかし、実際には、彼らの行為は法律や倫理に反している場合が多く、無実の人を冤罪に陥れたり、暴力や暴言を振るったり、プライバシーや人権を侵害したりしている。また、彼らの動画は、再生数やチャンネル登録者数を稼ぐために、煽りや演出が多用されており、視聴者を煽動したり、感情を操作したりしている。

YouTubeの規制が始まった?

私人逮捕系YouTuberに対しては、ネット上での批判だけでなく、識者や専門家からも「冤罪を生み出している可能性がある」「世直しだろうと法から逸脱すれば単なる不法行為で、自分が加害者になる」といった指摘がなされている。また、過激な動画を投稿すれば再生数やチャンネル登録者数が伸びるため、内容がエスカレートしてくことを危惧する声も上がっている。

そんな中、YouTubeの運営会社が、私人逮捕系YouTuberのチャンネルをアカウント停止にしたというニュースが話題になっている。8日の夕方までに、迷惑系や炎上系としても知られるYouTuberの煉獄コロアキのチャンネルが停止になった。コロアキは、チケット転売をしているという一般女性に暴力を振るったり、立てこもり事件の現場に乱入したりといった動画で物議を醸していた。彼のチャンネルにアクセスすると、「嫌がらせ、いじめ、脅迫を目的としたコンテンツを禁じているYouTube ポリシーに対する度重なる違反または重大な違反のため、このアカウントを停止しました」と表示される。つまり、YouTube側は彼の私人逮捕系動画を「嫌がらせ、いじめ、脅迫」と判断したようだ。

10月20日ごろには、元陸上自衛官で登録者数36万人を誇っていた「令和タケちゃん」こと後藤たけし氏のYouTubeチャンネルも停止になった。彼は、社会問題の現場に突撃する“パトロール系”と称しており、路上喫煙やポイ捨てなどを注意する動画をはじめ、「不法投棄して逃走する外国人を私人逮捕!」「怪しい不動産投資の勧誘者に殴られたので私人逮捕!」といった過激な内容の動画が話題となっていた。彼のチャンネルにも同じく、「嫌がらせ、いじめ、脅迫を目的としたコンテンツを禁じているYouTube ポリシーに対する度重なる違反または重大な違反のため、このアカウントを停止しました」と表示される。彼の場合は、警告なしの「一発BAN」だったとみられる。



YouTubeの規制の基準は?

YouTubeは基本的に複数回のガイドライン違反警告を受けるとチャンネル削除になる通称「スリーストライク制」となっているが、重大な違反の場合は警告なしでアカウント停止になることもある。YouTubeのガイドラインでは、「嫌がらせ、いじめ、脅迫を目的としたコンテンツ」は禁止されており、以下のような内容が該当するとされている。

  • 他の人に対して暴力的な行為をするように促す
  • 他の人に対して暴力的な行為をすると脅す
  • 他の人に対して暴力的な行為をするとほのめかす
  • 他の人に対して暴力的な行為をすると嘲笑する
  • 他の人に対して暴力的な行為をすると侮辱する
  • 他の人に対して暴力的な行為をすると中傷する
  • 他の人に対して暴力的な行為をすると名誉を毀損する
  • 他の人に対して暴力的な行為をするとプライバシーを侵害する
  • 他の人に対して暴力的な行為をすると人権を侵害する

私人逮捕系YouTuberの動画は、これらの内容に該当する可能性が高いと考えられる。YouTubeは、これらのコンテンツを発見した場合は、警告なしでアカウント停止にすることができるとしている。また、YouTubeは、コンテンツの内容だけでなく、コンテキストや意図も考慮するとしている。



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