東京で、大麻に似た作用を持つとされる合成化合物『HHCH』が含まれたグミを食べたことで、9人が体調不良を訴えて病院に搬送されるという事件が発生しました。警視庁は、グミを配った男性を特定し、詳しい事情を聴いています。

2日間で9人が搬送

事件は、今月3日と4日の2日間にわたって起きました。3日には、東京・押上駅のホームで、20代の男女4人が嘔吐やめまいなどの症状を訴え、救急車で病院に運ばれました。そのうちの1人は、電車に乗る前に「“大麻グミ”を食べた」と話しているといいます。

翌日の4日には、東京・小金井市で開催された、武蔵野はらっぱ祭りで、男女5人が同様の症状を訴えて病院に搬送されました。その5人は、来場者の男性が配っていたグミを食べたということです。警視庁は、グミを配った男性を特定しましたが、この男性は「おいしかったからグミを配った」と話しているといいます。グミを食べたことで、わずか2日間で9人が搬送されたことになります。押上と小金井市でのグミが同一のものかなど、詳しいことは分かっていません。

HHCHとは何か

小金井市で配られたグミのパッケージには、商品名とともに『HHCH』と書かれていて、大阪市の会社が製造したものでした。その会社には、10日に市と保健所が立ち入り調査を行いました。

HHCHとは、大麻に含まれ、幻覚症状などを引き起こす違法な成分をまねて作られた合成化合物です。大麻に似た作用がある可能性も指摘されていることなどから、HHCHが含まれたグミは“大麻グミ”とも呼ばれています。このHHCHは、現在の法律では規制はされていません。そのため、グミだけにとどまらず、リキッドなどに入れられ、ネットや店舗などで販売されています。

しかし、厚労省によると、規制されていないとはいえ、HHCHの安全性が確認されているわけではないといいます。新しい物質のため、十分なデータが集まっていないというのが現状です。元厚労省麻薬取締官の高濱良次さんはこう話します。



高濱さん:「規制されるべきものだけど、違法かと聞かれると違法ではない。身体的不調を訴えた、それだけで規制しましょうとはできない。使ったらどうなるのか研究が必要。データが必要。そのデータを集めたうえで、規制の方向に進む」

さらに、高濱さんによると、こうした成分1つを指定薬物の対象としても、似たような特性を持つ新しい化合物が出てくる可能性が高いといいます。まさに、イタチごっこの状態です。

高濱さん「(HHCHを)体に摂取することで、どういう副作用を生じるか全く分かっていない。研究も進んでいない。自分から取り込まないようにしないと、今回の大麻グミみたいな症状を経験することになる」



注意喚起が必要

この事件を受けて、厚労省は、HHCHを含む製品の使用に注意を呼びかけています。また、警視庁は、グミを配った男性に対して、傷害や薬事法違反などの容疑で捜査を進めています。

HHCHは、規制されていないからといって安全とは限りません。自分の健康を守るためにも、不審なグミやリキッドなどは絶対に食べたり吸ったりしないようにしましょう。



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