韓国のソウル高裁は23日、元慰安婦の女性らが日本政府に損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、原告の請求を却下した1審判決を取り消し、日本政府に賠償金の支払いを命じたと発表した。この判決は、主権国家は他国の裁判所に裁かれないという国際法上の「主権免除」の原則が認められるかが争点となっていた。1審判決では、日本政府は主権免除の原則の適用が認められ、原告の請求は棄却された。しかし、高裁判決では、日本政府は主権免除の原則の適用が認められないと判断された。高裁は、日本政府が元慰安婦の女性らに対して人権侵害を行ったことを認め、日本政府に一人当たり1億ウォン(約950万円)の賠償金の支払いを命じた。
この訴訟は、2021年に韓国のソウル中央地裁が日本政府に元慰安婦の女性らへの賠償を命じた判決が確定した後に、別の原告が提起したものである。2021年の判決では、日本政府は主権免除の原則の適用が認められないとされ、一人当たり1億ウォンの賠償金の支払いが命じられた。しかし、日本政府はこの判決に対しても損害賠償には応じておらず、判決は履行されていない。
日本政府は、この問題に関しては、2015年に韓国との間で結んだ「慰安婦合意」に基づいて、10億円の支払いを行ったと主張している。しかし、韓国の文在寅政権は、この合意は元慰安婦の女性らの意見を反映していないとして、無効であるとの立場をとっている。このため、両国間の外交関係は冷え込んでおり、解決の見通しは立っていない。